沖電気工業 世界最高純度量子もつれ光源を開発し、実用的な次世代量子暗号技術の確立に成功

2012年2月21日沖電気工業株式会社
日本大学世界最高純度量子もつれ光源を開発し、実用的な次世代量子暗号技術の確立に成功OKIは、このたび独自技術を用いて世界最高レベルの高純度量子もつれ光源を開発し、世界で初めて現在利用されている光通信帯で常温動作による高純度量子もつれ光子対発生に成功しました。日本大学量子科学研究所 井上修一郎教授らの研究グループとの実証実験により、量子暗号用光源性能として従来の光ファイバ型光源と比べて100倍以上の信号雑音比を確認しました。さらに、この光源を用い、通常の光ファイバ通信での伝送試験を実施し、140kmの量子もつれ光子対伝送にも成功しました。これにより本技術を適応することで、既存の光ファイバ通信環境で都市間伝送が可能な常温動作の次世代量子暗号通信システム(注1)が実現できることを実証しました。量子力学の原理に基づき盗聴を検出する量子暗号技術は、解読不可能な究極の暗号を実現できるため、スマート社会を支える高セキュリティサービスとして注目されています。現在、実用化に向けて様々な研究開発がなされておりますが、光源については、極低温冷却が必要である、光通信帯以外の波長の光を扱う必要がある、光子の純度向上が困難など、実用上大きな課題がありました。今回、OKIは、独自に開発した周期分極反転構造ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路デバイス(注2)を用い、カスケード非線形光学効果方式による量子もつれ光源の開発に成功しました。常温で動作し、光ファイバ通信波長のみで構成可能なことから実用的な次世代量子暗号技術と言えます。そして、日本大学量子科学研究所が開発した、1GHzの高繰り返しで低雑音・高効率に光子を検出できる半導体単一光子検出器を用い開発した量子もつれ光源の性能実証実験を行いました。この結果、生成した光子対の信号/雑音比として、従来型の光源/検出器の組み合わせに対して数十倍~数百倍の値が得られ、本研究で開発した量子もつれ光源ならびに単一光子検出器を用いることで、信号誤り率の低い量子暗号通信が実現可能であることを実証しました。さらに、生成させた量子もつれ光子対を伝送する試験も実施し、常温動作の光ファイバ通信環境系で140kmの伝送距離において、量子もつれ状態が十分に保持されることが確認され、都市間の伝送に相当する量子暗号通信が十分可能な性能を実証しました。なお、この研究の一部はOSA(米国光学会)のOptics Express, vol. 19, No. 17, pp. 16032-16043(2011)で発表されたものです。OKIは今後、開発した量子もつれ光源の一層の性能向上とともに、小型化、低コスト化を促進し、量子暗号通信システムの実用化に取り組んでいきます。OKI開発の量子もつれ光源の特長量子もつれ光源について量子もつれ光源は、光学非線形性を有する光デバイスを利用して実現されます。非線形光学過程によって、1個ないし複数個の励起光子が消失し、それと同時に、一組の光子対(相関光子対)が新たに生成します。この光子対は常に対となって同時生成し、また、その観測される物理量(波長や偏波など)に距離に依らない相関(非局所的相関)があり、これを利用して量子もつれ光源を実現します。カスケード非線形方式について量子もつれ光子対の発生には、その種になるレーザ光源が必要となりますが、従来のPPLN導波路デバイスによる光子対発生方式では、特殊な波長で発振するレーザ光源を用意しなければならないという問題がありました。また、これまでに、光ファイバの非線形光学効果を利用したもつれ光子対発生方式も検討されてきましたが、この場合、常温では雑音光子が多数発生するため高純度化が難しく、光ファイバを極低温に保つ冷却装置が必要でした。そのため、コストと性能の両面を満足する実用的な量子もつれ光源の実現はいまだ不十分でありました。今回OKIが新たに開発した方式(カスケード非線形方式、図1)においては、一般の光通信で使用されているレーザ、波長フィルターなどの光学リソースのみで光源システムを実現でき、また、PPLN導波路デバイスの有する高い光学非線形のために、ラマン散乱などによる雑音光子の影響を十分低下させることができ、高い信号/雑音比を実現することが可能となります。用語解説本件に関する報道機関からのお問い合わせ先OKI 広報部
電話:03-3501-3835日本大学量子科学研究所 教授 井上修一郎
E-mail:本件に関するお客様からのお問い合わせ先研究開発センタ 機器技術研究開発部
電話:048-431-5489

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